~幸福について 50~
◇ 幸福について、癒(いや)しの詩人はどのように考えているのだろうか?
【二度とない人生だから】
二度とない人生だから、
一輪の花にも無限の愛をそそいでゆこう
一羽の鳥の声にも無心の耳をかたむけてゆこう
二度とない人生だから
一匹のこおろぎでも ふみころさないように
こころしてゆこう
どんなにか よろこぶことだろう
二度とない人生だから
一ぺんでも多く便りをしよう
返事は必ず書くことにしよう
二度とない人生だから
まず一番身近な者たちに
できるだけのことをしよう
貧しいけれど こころ豊かに接してゆこう
二度とない人生だから
つゆぐさのつゆにも めぐりあいのふしぎを思い
足をとどめてみつめてゆこう
二度とない人生だから
のぼる日しずむ日
まるい月かけてゆく月
四季それぞれの星々の光にふれて
わがこころを あらいきよめてゆこう
二度とない人生だから
戦争のない世の実現に努力し
そういう詩を 一篇でも多く作ってゆこう
わたしが死んだら あとをついでくれる
若い人たちのために
この大願を書きつづけてゆこう
(坂村真民)