~小説の書き出し・・・その5:蝉しぐれ~
文章を書く際に、まず最初に悩むのは、書出しの言葉ではないだろうか。
読み手の心をつかむためにも書き出しは重要だと思う。
そこで、私がいままで読んだ本の中で、印象に残った本の書き出しを紹介。
≪蝉しぐれ≫
海坂藩普請組の組屋敷には、他の組屋敷や足軽屋敷には見られない特色がひとつあった。組屋敷の裏を小川が流れていて、組の者がこの幅六尺に足りない流れを至極重宝にして使っていることである。・・・・・・・・・
浅い流れは、たえず低い水音をたてながら休みなく流れるので、水は澄んで流れの底の・・・・
藤沢 周平 著
蝉しぐれ
文藝文庫・文藝春秋