~小説の書き出し・・・その13:銀婚式第4章13~
文章を書く際に、まず最初に悩むのは、書出しの言葉ではないだろうか。
読み手の心をつかむためにも書き出しは重要だと思う。
そこで、私がいままで読んだ文の中で、印象に残った文章の書き出しを紹介。
今日も書き出しの文章ではないが・・・・
《銀婚式第4章 13》
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「離婚した奥さんの親?」と相手は、弟同様、不思議そうに尋ねた。
「何で高澤さんが、そんなことに関わっているの?」「一人息子の家庭のことだからさ」
「そういう関係が続くのか」
「まあ、人によるんだろうけど」
相手はしみじみとためいきをついて続けた。
「若い嫁さんと人生をやり直すなんてのは、所詮は男の見果てぬ夢ってことかね」
昨年の冬の出来事を思い出し、思わず苦笑する。
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篠田節子著 「銀婚式 第4章 13」
毎日新聞 2011.4.3(日)日曜くらぶ より