小説の書き出し・・・その15:銀婚式第4章16・完
~小説の書き出し・・・その15:銀婚式第4章16・完~
文章を書く際に、まず最初に悩むのは、書出しの言葉ではないだろうか。
読み手の心をつかむためにも書き出しは重要だと思う。
そこで、私がいままで読んだ文の中で、印象に残った文章の書き出しを紹介。
今日も書き出しの文章ではなく、
《銀婚式第4章 16・完》
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大鳥居の下を抜けた。
由貴子がふと足を止め、仰向いた。
中空に青白い月がかかっている。
「あのまま続いていれば、今年、銀婚式なのね」
つぶやくような声が、少し甘やかな空気をまとって聞こえた。(完)
篠田節子著 「銀婚式 第4章 16」
毎日新聞 2011.4.24(日)日曜くらぶ より
■「少し甘やかな空気をまとって」の「空気をまとう」の表現が温かい。