企業家の営為で成長加速を!吉川 洋氏(東京大学教授)
2007.1.14(日) 小雪
企業家の営為で成長加速を!吉川 洋氏(東京大学教授)
2007.1.10 日本経済新聞 経済教室 07年の針路(5)
吉川 洋氏(東京大学教授)より
【夢実現こそ「イノベーション」の原動力】
◇人口減少下でも成長は可能であり、そのカギはイノベーションが握る。
◇イノベーションは、自らの社会的役割を十分に認識しながら、夢を実現させようと「新しいこと」をやり遂げようとする「企業家」にかかっている。
◇そのためにも人の質の向上こそ急務である。
【人口より重要なイノベーション】
◇国内総生産(GDP)の伸びに代表される経済成長は、依然として我々が直面する様々な問題を克服するための「切り札」である。
◇財政再建にとって経済成長が不可欠である。
◇高齢化と医療の技術進歩により増大する国民医療費をファイナンスする、つまり健康と長寿を保障するのも経済成長である。
◇21世紀においても労働時間短縮を可能にするのも経済成長である。
【イノベーションは新しいモノ創出、成長にもっとも重要】
~シュンペーターが挙げる5つのイノベーションの具体的内容~
1.新しいモノ・サービスの創出
2.新たな生産方法の開発、
3.新しい市場の開拓
4.原材料の新たな供給源の開発
5.新しい組織の開発
◇イノベーションはハードな工学的な技術進歩も含むが、はるかに広い概念である。
◇経済成長に最も根源的な力となる「新しいモノ・サービスの創出」には発明・発見などハードな科学技術の進歩が重要ではあるが、新たな市場を生み出すソーシャルエンジニアリング(社会のイノベーション)の役割も重要である。
【企業家とは?】
◇「新しいこと」をやり遂げる人であり、特定の職業というよりむしろ人間のタイプであることをシュンペーターは強調した。
◇イノベーションの担い手としての「企業家」は、従って政府にも教育の世界にもあらゆる分野にいるはずである。
【人の「質」を高め人口減克服】
■経済成長の根源を辿ると人口すなわち人の数ではなく、人の質、人材なのである。■