~幸福について・・・その14~
◇幸福について、小説家はどのように考えているのだろうか?
【かわいい子供】
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だが、うしろから肩をつかまれることもなく、「人さらい」とう指さされることもなく、
・・・・・・・・・ ・・・・・・・
子供はささやいた。
「おっかさん」
「おう、おう」
と女は答えた。胸に抱いているのは、生まれるはずだった自分の子だと思った。
突然に、女の目から涙があふれ出た。
藤沢周平著「日暮れ竹河岸」(人の世の光と翳をえがく19編)の1編:飛鳥山 文春文庫より