~小説の書き出し・・・その18:湖の琴~
文章を書く際に、まず最初に悩むのは、書出しの言葉ではないだろうか。
読み手の心をつかむためにも書き出しは重要だと思う。
そこで、私がいままで読んだ文の中で、印象に残った文章の書き出しを紹介。
《湖の琴》
余呉の湖は滋賀県伊香郡余呉村にある。琵琶湖の北端にそびえる賤ヶ岳を越えて、約1キロ半ばかり、山を分け入った地点である。滋賀の湖といえば、誰もが琵琶湖を連想するから、北の山一つへだてた裏側に、ひっそりして在るこの湖のことを気にとめる人は少ない。最近になって、この余呉近くを本線が通るようになり、駅も出来て、観光客の姿もまばらにみえるようになったが、昔はほとんど訪れる人はなかった。・・・・・・
湖の琴 水上 勉 角川文庫
《白川ダム湖、飯豊町》