~「私の南極と宇宙」・・・その403~
昭和39年電気工学科卒業 芦田 成生氏寄稿
氏は、第11次・14次南極越冬隊ロケット打ち上げ実験隊に参加なされました。
「私の南極と宇宙」(その1~402まで掲載済み)。
引き続いて宇宙開発の関わりを掲載致します。
<うめ1号>
<宇宙開発事業団時代(22)>
柴藤氏は「スピンテストまで終わったのに、パドルを外すとは責任が持てない」と怒ったが、吉山ロケット班長に報告するだけで勘弁してもらった。B/Hに戻り、ついでに衛星に外部からバッテリーに充電出来るか確かめた。ところが、少し電流が流れるだけで、規定値には程遠いものであった。我々が衛星を点検するまで気が付か無かったのは、この衛星は電気系点検の時に時間が掛かり過ぎ、フローティングで充電しているので、いつもフル充電になってしまうのだ。外部充電機能をチェックする手順が抜けてしまったので気が付かなかったのである。衛星試験棟に帰り、三菱電機の責任者に話しても「それではこうしましょう」とかの意見はなく、ただ「NASDAさんの言うとおりにします」で、全く呆れ果ててしまった。衛星の図面を出させて、アンビリカル・コネクターとバッテリーからの充電関係の回路を追っていくとジャンクション・ボックスに行き当たった。ジャンクション・ボックスの細かい図面を調べると、なんのことはない充電用の線がコネクター間で繋がっていなかった「お粗末の一席」であった。