デジタル革命:「ヒトとヒトの分業」から「ヒトとAIの分業」へ
~デジタル革命:「ヒトとヒトの分業」から「ヒトとAIの分業」へ~
日本経済新聞 2017.11.5
生産性考・その先に何が㊤より
«「ヒトとAI」の分業の仕組みが作れるかどうかが生産性向上と成長のカギになる!»
経済学の父、英国のアダム・スミスは1776年に「国富論」で分業の意義を説く。スミスの時代はヒトとヒトとの分業だった。
AIの能力が急速にあがるなか「ヒトとAI」の分業の仕組みをつくれるかどうかが生産性向上と成長のカギになりつつある。
<経済協力開発機構(OECD)の試算>
2030年には32カ国の職業の46%、2億1千万人の仕事がAIやロボットの影響を受けると試算。
<社内の階層をなくす組織運営・「ホラクラシー」の導入>
❖ 上司からの指示でなく自分で考えて自分で動くために、会社のすべての情報を共有する。組織をフラットにし、従来組織でありがちなアイデアが埋もれたり、実現に時間がかかったりしてイノベーションが生まれにくい状態を改革する。
❖AIやロボットが多くの仕事を担える時代だからこそ、世界は新しい組織の形を必要としている。
<銀行業の変革>
❖ メガバンクの三菱UFG銀行が515あった従来型の店舗を6年間で半減させ、小型店に切り替える。急進展するデジタル革命が銀行の産業としての形を根底から変えてしまうとの懸念がある。
❖ 給与振込など決済の顧客基盤ベースに低利で預金を集め、貸し出しに回す。銀行は、決済、預金、融資の三位一体のビジネスモデルで経済の中枢を担ってきた。土台となる決済の独占が崩れ始めた。デジタルマネーで給与を支払えるように規制が緩和されれば、その流れは加速するだろう。
❖人工知能・AIによる融資サービスは、従来の1か月から1週間が可能になった。
<自動車産業の変革>
❖ トヨタ自動車の豊田章男社長は語る。「車を作る会社からモビリティーサービス会社になる」。2018年11月1日に、車を定額で貸し出すサービスへの参入を発表。
«事業の比重は「モノづくり」から「ソフトウエア」&「サービス」に移行»
人工知能・AIやビッグデータが引き起こす世界の変化をどう読んでうごくか。経営者の眼力が試されている。