~働き方、進化論、5・完~
政府は働き方改革の旗を振り、戦後70年以上続いた年功序列や終身雇用と言った制度にメスを入れようとしている。一人当たりの生産性向上や、外国人や女性など多様な人材の活躍なくしては少子高齢化が進む日本は日本は世界に伍していけない。一方で現場には先行するヒントが溢れている。改革の行方を追う。
上記は2017年に作成された資料
日本経済新聞 2019.2.22(金)
第一部 突き抜ける職場⑤:がむしゃらは許せるか
4月から日本でも「脱時間給制度」がはじまる。働き方改革の目玉の一つだが、米国の例を踏まえて要件を厳しくしたため、労使から評価が厳しいとの声が上がり、あまり使われないとみる専門家もいる。
労働基準法は賃金を働いた時間に応じて支払うよう定めている。創造性や付加価値が求められる今、成果は必ずしも時間に比例しない。
💛 時間と切り離した新たな働き方への解への模索は続く。
《シンガポールの会計事務所代表の公認会計士の長縄順一氏の場合》
「おまえは天才じゃない。でも、人より努力すれば結果はついてくる」と教師だった両親から言われて育った。シンガポールの拠点をゼロから立ち上げ、今では40人の会計事務所を率いる。シンガポールは労働時間などの規制が日本に比べ緩い。幹部候補生はがむしゃらに働く。成果は給与や昇進に返ってくるからだ。
《フィンテックベンチャーに勤める真田孝之氏の場合》
1年前、大手金融機関を辞めた。毎月の残業は80時間超。厚労省からの要請で会社が19時退社を掲げてからは効率を高め成果を保とうと懸命だった。だが」従来と同じ仕事ぶりで時間が来れば帰る人も多く、それでも評価はほぼ同じ。
💛 今は年俸制だ。半期ごとに目標に対する成果を精査され、きちんと評価される。頑張りが会社の成長につながる実感もあり「責任感もやる気も高まる」
《米国では》
企業がジョブ・ディスクリブション(職能記述書)で、従業員に求める具体的な職務や権限の範囲などを明示する。働く時間を重視する日本に比べ評価軸が明確だ。
《ホワイトカラー・エグゼンプション(脱時間給制度)》:時間から切り離された働き方
米国の労働者の2割に適用されている。ただ、名ばかりの管理職にも適用され、残業代削減に悪用されているという批判もある。
💛 成果に対する評価を軸にするため、生産性の向上や効率化に有効だ。