深い森の中で:九里学園教師故山崎時夫の随筆&エッセイ・・・25
~深い森の中で:九里学園教師故山崎時夫の随筆&エッセイ・・・25~
≪ある卒業生への手紙・・・5≫
💛学校で修得した人間性が、実社会の矛盾に衝突した時、もう一度、
自らの心を学校に帰してカタルシスさせて行くこと。それだからこそ、学校は心の故郷だと言えると思うのです。昔、プラトンがイデアの世界を説いて、我々の魂はかってはイデアの世界にいた。我々が理想社会を望むのは、我々の魂がその昔徘徊していたイデアの世界を想起するからだと説いた。それと同じように、我々が若い時代に経過した学校と言う鈍化した世界を、我々は忘れ去ることが出来ないのだ。・・・・・・と僕はそんなふうに考えるのです。
最近のように、社会構造が、血縁、地縁といった共同社会的なものが漸減していった一方、功利的な利益集団がますます増加してゆく傾向にあればこそ、ますます学校という存在が大きくクローズアップされてゆくのです。然し一方現実的に、学校自体が利益集団化してゆくのが多いのを見ると、残念でならないと思うのです。
「学園通信」四〇・三