~「AIチップ」日本の出番~
2019.4.21 日本経済新聞より
人工知能(AI)の情報処理に適した専用の半導体回路「AIチップ」を開発する事業が日本で始まった。多数のコンピューターをつなぐ必要があった膨大な量の計遺産をこなす性能を備え、自動車やロボットなどに搭載できるようになる。産業競争力のカギをにぎるため米中の企業が開発にしのぎを削る。
≪「AIチップ設計拠点」≫
設計した半導体が正しく動作するかを検証する専用機のコンピューターを東京大学が新たに設置し、4月から本格的に稼働始めた。」
産業技術総合研究所と東大が共同で運用する「AIチップ設計拠点」の中核設備になる。
約16億円をかけて整備、確実に動く半導体を作るためには欠かせないと池田誠東京大学教授は解説。5年間で100億円の資金を投じる。今後約20件のテーマを採択し、AIチップの設計と検証を支援して行く。
≪現在のAI≫
膨大なデータを学ぶ深層学習が主流だ。パソコンに搭載されている既存のCPU(中央演算処理装置)は一つずつ順番に計算するのは得意だ。しかし大量の計算を同時にできない。エヌビディアのチップは内部に小さな計算機である「コア」を多数集積し、情報量の多い画像の処理に特化した。これが深層学習用に適していた。
≪世界の情勢≫
世界ではここ数年、AIチップで猛烈な研究開発競争が繰り広げられている。先行したのは画像処理用チップの最大手、米エヌビディアだ。米グーグル、インテル、アップル、中国のファーウェイ、アリババ集団など参入。ハード開発に縁の薄かったフェイスブック、アマゾンも進出を表明。日本は出遅れたが、得意のAIチップ(エッジ側)を開発する。
≪クラウドとエッジ≫
💛 クラウド:データーやシステムを集約した専用のコンピューター側をいう。
💛 インターネットにつながる端末側をいう。
❖ 現在の人工知能(AI)によるサービスは、クラウド内に用意されたAIデータを処理して結果をエッジに送る方式が主流。
❖ 利用者はコンピュータの保守管理、セキュリティー対策などに手間をかけずに済み、最近広く使われるようになった。
💛 スマートフォンや自動車、センサーなどのエッジ側にAIチップを載せてデータを処理絵できるようになれば、データを第三者に通信する必要がなくなる。
エッジ側のAIチップには、処理能力とともに小型で消費電力が少ない性能が求められる。