~❝3歳児神話❞~
<母を悩ます❝3歳児神話❞>
「かわいそうに、こんな小さい時から保育園に預けて」 働くお母さんがよく言われる言葉です。その背景にあるのは“3歳児神話”。
◇ 『子どものために小さいころ(特に3歳までは)母親が育児に専念した方がよい』という説が広まるきっかけはイギリスのボウルビィという精神医学者の1951年(昭和26年)の報告書だといいます。
◇ WHO(世界保健機構)からの委託を受け、孤児院などで乳児の心身の発達の遅れが多い要因を検討。『母性的な養育が欠けていることがその原因』と指摘したのです。
◇ 新しい研究❝母親の就労は影響なし❞
お茶の水女子大学の菅原教授はボウルビィの報告書について「母子の結びつきの大切さを主張していて、母親の就労を否定するものではない。それが母親の不在がよくないという一面のみが強調されてしまった」と指摘しています。
◇ 影響があるのはこんなことそれは「『お母さんの心の健康』、『夫婦仲』、保育園などの『保育の質』で、これらは子どもの発達に影響し問題行動にもつながるとされています」 「大切なのは安全な環境で愛情をもって養育されること。それはお母さんだけでなく、お父さん、祖父母、シッター、保育士などある意味、複数の人からでも大丈夫なのです」
❖ ❝3歳児神話❞には真実の一面も
40年以上、母親に関わるさまざまな“神話”を研究している。恵泉女学園大学の大日向雅美学長です。
大日向さんの話ではまず、「“3歳までが非常に大切な時期”というのは真実。この時期に愛され自信を持ち人を信じる心を育むことは崩してはならない」。
ただ「その時期に“母親が育児に専念しなければいけない”は修正が必要。母親だけでなく、父親や祖父母、地域の人などさまざまなところから愛情を受け取れる」。
2017.11.15 NHK NEWS WEB より