~「夢のがん早期診断」が実現間近に~
東京築地にある国立がん研究センター。患者の皆さんが訪れる中央病院を裏に抜けると、ことし完成したばかりの新研究棟が現れます。その一角で日々研究が進められているのが、今回の画期的ながん診断技術です。まだ試験段階ではありますが、血液検査をするだけで、胃がんや乳がんといった患者数の多いがんはもちろん、希少ながんも含めた13種類ものがん(大腸がん、胃がん、肺がん、乳がん、前立腺がん、食道がん、肝臓がん、胆道がん、すい臓がん、卵巣がん、ぼうこうがん、肉腫、神経膠腫)を、ごく初期の段階で診断できるという、夢のような検査手法が実現しようとしています。
◇ 正しく判定できる精度は95%以上
◇ 実用化目標は2年後
がん検診受診率が低い日本
「国民の2人に1人ががんに発症し、3人に1人ががんで死亡する」という日本。では、そんな日本でのがん検診の受診率をご存じでしょうか?
正解は、患者数の多い大腸がん・胃がん・肺がんの場合およそ4割。この受診率、欧米やほかの先進国と比べて低い状態が続いています。例えば、乳がんを調べるマンモグラフィ検診の場合、アメリカ・イギリスなどの先進国では7-8割に上る一方で、日本はおよそ3割にとどまっています。
がん検診の受診率が低い背景には、現状それぞれのがんごとに異なる種類の検査を受けなければならず、負担が大きいことも影響しているという指摘があります。乳がん検診ならX線で撮影するマンモグラフィ、消化器系だと超音波(エコー)検査、胃や大腸の管にファイバースコープを通して観察する内視鏡検査などが一般的ですが、なかには痛みや精神的な苦痛を伴う検査もあります。検査の負担を軽くすることは、がんの早期発見・早期治療を実現する上で、とても大事な課題なのです。