~「信」がなければ、人は動かじ!~
《死にぎわに自分の幼児を託せる人こそ、最も信頼できる人》
「子曰く、人間がもし信用をなくせば、どこにも使いみちがなくなる。馬車に轅がなく、大八車に梶棒がないようなもので、ひっぱって行きようがない」(為政第二38:宮崎市定訳)
〈託孤寄命章〉
「曾子曰く、以て六尺の弧を託すべく、以て百里の命を寄すべく、大節に臨みて奪うべからざるや、君子人か、君子人なり」(泰伯第八191)
「曾子言う、孤児を託すことのできる者、(百里四方ぐらいの)一国の運命を任せうる人、危急存亡のときに心を動かさず節を失わない人、そういう人が君子人であろうか、君子人である」
💛 幼い子を誰かに託して世を去っていかねばならぬ、というようなとき、これを託すことができるのは最も信頼できる人であろう、という指摘は、主義にも体制にも宗教宗派にも関係のない「事実」である。
ということは、自分そのとき誰を選ぶであろう、と考えてみれば、真に信頼できる人がだれかがわかる。危急存亡の時も心を動かさない人がいたら、それは確かに君子人である。
💛 「仁者」とはまさにそういった人なのだが、このことは人を見る場合の実に貴重なヒントで、「この人は、自分が一人子を置いてこの世を去っていくとき、その子を託せる人であろうか」・・・常にこれを念頭に置けば、いずれの社会であれ、人に裏切られることはない。そして、このような「信」があってはじめて、上役は彼の苦言に耳を傾け、部下は一心に働く。
💛💛 「信」がなければ、人は動かないのである!
信頼していない人間に心服する者はいないし、その苦言・忠告に耳を貸す者もいない!