新型コロナの封じ込めは? 生物地理学者・ジャレド・ダイヤモンド氏
~新型コロナの封じ込めは? 生物地理学者・ジャレド・ダイヤモンド氏~
日本経済新聞 2020.4.14
1面 コロナと世界
◆ Jared Diamond
1937年生まれ。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授。
1万3000年に及ぶ人類史を描いた「銃・病原菌・鉄」でピューリツァー賞を受賞。
近著に「危機と人類」
聞き手:シリコンバレー奥平和行氏
≪歴史にどのような影響を及ぼしますか≫
新型コロナの封じ込めは世界各国が足並みをそろえないと困難だ。戦いに勝つには国際的な協力体制が要る。世界的な問題を解決するモデルになり、核や気候変動、水産資源の保護といった課題に国際社会が協調して取り組む契機になるのが最良のシナリオだ。
≪人類は過去に多くの危機に直面してきました。新型コロナウイルスの感染拡大をどう位置付けますか?≫
❖ 14世紀の黒死病(ペスト)では欧州人口の約3分の1が死亡し、経済が回復するまで1世紀
❖ 世界恐慌は回復までに10~12年かかったが、今回はより短いだろう。
❖ 1918年のスペイン風邪は致死率は11%と新型コロナの2%より高かったが感染のペースは緩やかだった。
❖ 一方、輸送の発達が不利に働き、今回は4カ月ほどでパンデミック・世界的大流行となった。
≪日本の現状について≫
自国だけは例外と考えることが危機を乗り越える障害となる。
重篤な症状に陥りやすい高齢者の割合が世界で最も高いことを考慮すべきだ。